和歌山県経済は回復の兆しが乏しく、先行きの不安感が漂っています。和歌山県景気動向調査によると、横ばいで見通しは回復傾向にあると報告されています。しかし実感が伴わない感じもあります。そこで関係者と経済論議を行いました。
和歌山県経済は横ばいで推移、但し上からの圧力が強く上昇するには力不足だという意見で一致しました。つまり当面、このままの状態で推移するのではないだろうかという結論です。
この原因は欧州の債務危機、円高、原油高の三点が主なものだと考えられます。これらの原因から先行きに不透明感があることから企業は投資意欲に欠け、そのため新規投資の見通しが無く、資金需要が少ないのです。事実、県内では平成23年度の下半期から資金需要が低下しています。
この事実を前向きに考えるのであれば、緊急経済対策によって県内企業に資金提供がされていること。この資金は長期、かつ低金利のため、借り受けた企業は資金が回っているので新規に借り受けなくても良いということになります。
更に経済が低迷している原因を探すと、資源価格の上昇と原子力発電が停止していることからエネルギーコストが増加していることも原因に挙げられます。急激に国全体の貿易収支が赤字となったのは、この二つの原因によるものです。
さて和歌山県経済の特徴的なものは何なのでしょうか。和歌山県の産業構造はクラスター構造になっていないことがあります。
産業クラスターの定義は、「特定分野における関連企業、専門性の高い供給業者、サービス提供者、関連業界に属する企業、大学や業界団体および自治体などが地理的に集中し、競争しつつ同時に協力している状態のこと」を言います。クラスターとはブドウの房のことで、ブドウの房のように企業・機関・自治体などが地理的に集積し、ネットワークをつないでイノベーションを創出することを言います。今までにない新しい組み合わせの企業・機関ネットワークをプロジェクトごとに構築することで新産業を生み出し、日本の経済再生を図るためにピラミッド型である従来の垂直型産業組織や、企業誘致に重点をおいた地域経済振興から、産業クラスターへ各地域で組みかえられているのが現状ですが、和歌山県では産業クラスター化が進んでいません。
つまり県内企業は全国のサプライチェーンがつながっていない業種が多く、それぞれが独立した技術を持つ産業構造になっています。優れた技術や特許を持っている化学会社や組立加工業などが代表的なものです。
これは強みであり弱みでもあります。強みで言うと、特定のメーカーが停滞しても、二次請負に入っていなければ生産調整などの影響を受けませんから、県内企業への影響は少ないのです。ところが経済が回復基調に入ったとしても、サプライチェーンに属していないことから、一緒に経済が上昇することはなく、経済回復の最後に追従していく形になります。和歌山県の経済ポジションは比較的安定していますが、高いポジションではないというものです。
このニッチ市場で市場を占めると強みがあります。その製品が市場を独占的な局面に持っていけることです。ニッチ市場ですから大企業、大手資本が参入してこないからです。大企業がわざわざニッチな市場を狙いません。そこで独占的な地位を占めることが可能と成ります。逆に経済回復があってもニッチはやはりニッチ市場で、市場が膨らむことは少ないのです。市場が膨らむと大手企業が進出する可能性があることから、小さな隙間市場であることが和歌山県のこれらの企業にとって優位に働くものです。
このように県内企業はニッチトップの分野が強いところが特徴です。
従って日本経済がV字回復を果たすとしても、和歌山県経済はV字に回復する期待はありません。もう明らかなように、V字回復が見込める産業が少ないからです。
では和歌山県経済を回復に向かわせ政策はあるのでしょうか。ひとつは県外資本の投資を呼び込むこと。もうひとつは産業の育成とそれらの市場を外に求めることです。つまり産業クラスター化を図ることです。
前者の取り組みは企業誘致です。大型企業や基幹産業の立地が実現すれば経済回復につながります。後者の取り組みは成長を期待できる産業と人材育成を支援すること。県外市場への進出のお手伝いをすること、そして外国進出へのお手伝いをすることです。
どちらも企業、産業界と行政機関との連携が必要で、官民連携が政策の柱となるものです。どれも地味な取り組みですが、意外性のある取り組みはありませんし、地道な取り組みを継続することが経済対策と言えます。
ところで消費税増税に関しても話を行いました。消費税増税は見方によって是非が変わります。経済が低迷している時に消費税を増税すれば消費意欲を削ぎ、更に経済は低迷する危険性があります。良く例えられているように、風邪をひいている患者さんを寒い日に薄着で外に出すような状態になります。風邪引きの状態の日本経済が肺炎になる恐れもあるのです。これか消費税増税に反対する立場に立った場合の意見です。
では消費税増税に賛成の立場だとどうなるのでしょうか。プライマリーバランスを安定させることが日本の大きな課題ですから、一般的に言われているように税と社会保障の見直しは必要となります。この改革を進めなければ、日本が財政危機から脱出できない、または脱出することさえできないと世界各国、世界の投資家から見られるため、日本国債が暴落する可能性があります。わが国の国債の信用力を高め、金利水準を低く安定させるためには信用力を高める財政施策が必要なのです。それがプライマリーバランスを改善するための消費税増税をする意味であり、日本売りをさせないように世界を誘導することなのです。きつく言えば、消費税さえ上げられない日本の政治は弱く、安定的な国の状態ではないので日本国債は買わない、または売りに出すという行動に出られることを防ぐことが重要なことです。
国民の立場からすると、財政危機で社会保障が不安な状態でいると、将来への不安が増すばかりで、多くの人が消費よりも貯蓄へという行動に向かいます。これでは消費喚起どころか消費を抑えることになります。安心した老後を迎えるための社会保障制度を確立させなければならないのです。これが消費税増税を肯定する立場からの意見です。
税と社会保障の改革に関して賛否は分かれますが、考えるべきわが国の課題です。
最近、太田城に関する話を聞く機会が増えています。文教委員会で現地視察を行って以降、増えているように感じます。太田城水攻めに関する絵図が和歌山市の指定文化財になりました。これは「総光寺由来并太田城水責図(そうこうじ ゆらいならびに おおだじょう みずぜめず)」で、水攻めの史実を絵図で伝える数少ない資料である点が評価されました。この絵図は真言宗寺院・惣光寺が所蔵しているもので、作者も制作年も不明ですが、 江戸時代前期のものと推定されています。
本日は、太田城史跡顕彰保存会の太田孝さんを訪ねました。太田孝さんは自費で「太田城と太田の歴史探訪」という冊子を発行しています。太田城の歴史を風化させないように調査と研究を行い冊子にまとめています。次第に協力者が現れ、現在は写真などを挿入した形になっています。
和歌山市太田に在住の太田孝さんはこのお城に愛着があり、詳しく調べて訪れる人に話をしてくれます。そしてこの冊子は自宅のコピー機を使って制作しているのです。太田さんの言葉を借りると「夜なべ」をして手作りで制作しているのです。太田さんの話や冊子から、多くの人に読んでもらいたいという思いを感じます。
太田さんは「この冊子を読んでくれた人から感想を聞かせてもらえること。喜んでもらえることが嬉しくて楽しみです」と話してくれました。自分で調査し行動している太田さんの気持ちがこの冊子から伝わってきます。
今日も「皆さんに伝えて欲しい」と依頼があり5冊をお預かりました。大切な冊子ですからばら撒く訳にはいきませんが、多くの方に太田城の歴史を知ってもらい、現状の保存や語り継ぐことを依頼したいと考えています。
- 滋賀県と京都府のそれぞれの府県内での発電出力に関して意見交換を行いました。供給と消費に関しての話し合いを行いました。
- 再生可能エネルギーに関する依頼がありました。皆さんから適所と思われる場所の推薦依頼があります。しかし適所なのか、設置が可能かどうかの問題があり簡単には進まないのが現実です。
- 市内の某小学校通学路の安全性確保の問題について協議しました。現地を訪ねた後、県道脇を通学している小学生を見かけました。交通量が多く狭隘な歩行場所もあり、見直しの検討を行っています。