和歌山県内での新エネルギー計画について協議を行いました。平成24年度予算案でもあるのですが、県として新エネルギーの拠点となり得る用地の検討や調査を行う予算案が計上されています。昨日の説明会において対象となる新エネルギーについて説明があり、それはメガソーラーであるということでした。
そのことについて拠点を示して協議を行ったものです。設置する際の制約条件を出しそれをクリアするための条件や考え方を整理しました。制約条件とは法律、県の条例および市町村の条例です。法規制に添った形で設置計画を検討する必要があります。
メガソーラーは太陽光パネルを相当数敷き詰めるもので、例えば出力4万5千kWの場合は15万枚の太陽光パネルを設置することになります。工作物を設置するので建築や周辺への環境影響の程度が規制の対象となります。
また国内のメガソーラーの建設工事の期間は約1年間だと認識していましたが、欧米では3ヶ月もあれば工事が完了する工法をとっています。これから日本でも各地でメガソーラー計画が浮上してくると思いますが、決定してから建設工事は数ヶ月で終えるとしたら、平成25年初頭には各地でメガソーラーが稼動し始めるかも知れません。
さて協議している中で出てきているのは、県内の市町村の望んでいることは地元雇用が増える業種を最優先させることです。経済が停滞し雇用が少ない現状からすると、雇用を生み出す製造業を期待するのは当然のことです。しかし果たしてそこに固執しているだけでは期待が現実に変化しません。多くの正社員の雇用を見込める製造業が和歌山県内に立地してくれる可能性はゼロとは言いませんが、かなり厳しいと思います。私も和歌山市内への誘致活動はしていますが、厳しい反応があることを実感しているからです。簡単に「進出することを検討します」と答えてくれる会社は少ないのです。
今日も市内の経営者と懇談した内容があります。リーマンショック以降も業績を伸ばしてきた会社ですが、ここに来て受注が止まってしまったのです。理由は世界経済を見ると簡単なことでした。ギリシャ経済の破綻に伴いヨーロッパ経済が急速に失速しています。ヨーロッパ経済が打撃を受けていることからヨーロッパ市場が極端に弱まっています。ヨーロッパに製品を出している中国の輸出が止まり始めました。中国の製品を作り出す機器は日本からの輸出しているものが多いのです。中国からヨーロッパ向けの輸出が止まったことから、日本の工作物が売れなくなっているのです。
事実、この会社には、中国企業から受注を受けていた機器の納品を待ってくれという依頼がきています。生産体制を敷いているのですが、生産再開が見込めないのです。平成24年度からの生産体制について検討をしています。
また太陽光発電用セルを製造している各メーカーも国内の工場を縮小して海外へ移転することを打ち出しています。今ある工場もそうですが新規立地予定計画も白紙に戻っています。本日、太陽光発電用セルを製造している工場を訪れたことのある人から話を伺いました。自動車工場のように機械化された工場をイメージしていたのですが、実際は多くの人が働いていたようです。つまり太陽光発電用セルを作っている工場は機械化されているところもありますが、実際は多くの人が働いているのです。
つまり人件費が高い特性があり、人件費を下げるためには海外移転をするという帰結な訳です。これから国内で同製造工場が計画されることはないようです。
このように国内で近未来において地方都市に大規模な製造業が進出してくれることは困難だと言えます。
複数の経営者、行政関係者と話し合いましたが、地方都市において大規模な製造業の進出を求めることは難しく、公共大規模用地を製造業で埋めることは容易ではないことを改めて認識しました。
わが国が置かれている経済状況、そして世界経済を鳥瞰して地域経済を活性化させる方法を考える時代です。大規模な製造業を誘致して地域を発展させることは極めて難しいと考えています。