東京都内で開催された地方議員会議に出席しました。今日から二日間の東京です。
初日は民主党藤井裕久最高顧問、税制調査会長が来てくれて税と社会保障の一体改革について話をしてくれました。
2060年の日本の人口は約9,600万人と推計されています。実に約4,000万人の減少が予測されています。人口予想は確かな数字となって示されます。今回の推計は最新の国勢調査結果に基づいての予測のため大きく外れることはありません。外れるとしたら移民を受け入れた場合や、爆発的に出生率が高まる以外にありません。この減少は驚異的で65歳以上の高齢者が全体の約40パーセントを占めることから国民5人で2人の高齢者の社会保障を支える必要があるのです。これは現行制度では担いきれるものではありません。
しかも年間の出生率は約50万人と予測されているため、それ以降も高齢化が進むことになります。そこでこの時期に税と社会保障の一体改革が必要となるのです。政府の考え方は、経済を安定させて次の世代に引き継ぐこと。そして社会保障制度を整えて次の世代につなぐことが命題だとしています。野田総理の仕事はこのことに尽きると説明がありました。歴代総理の仕事は、一人の総理が一つの大きな仕事を仕上げるのが精一杯の歴史があること、そして一つの大きな仕事を仕上げることができたら後に名総理と言われるようになっていることから、野田総理には税と社会保障の改革を仕上げて欲しいと要望をしているようです。
たとえば吉田茂総理は日米講和条約の締結、鳩山総理は日ソ共同宣言を行っていますが、この在任中にこの仕事以上の成果はなく、しかしこの成果が評価されて名宰相と言われているのです。複数の大きな仕事を成し遂げた総理はいないため、現内閣の大きな仕事は税と社会保障の問題に取り組み成果をあげるべきだというものです。
さて年金制度には三つの道があることを示してくれました。
ひとつの道は、今まで通りの制度を継続することです。但し国の借金が膨らむのでギリシャのように国が破綻する可能性があります。
二つ目の道は、会社員がこれまで通り2分の1の年金負担を続けていくことです。個人と会社負担の額が増えていくことになります。
三つ目の道は日本国民全体として社会保障費を負担することです。それが消費税を完全目的税化して社会保障を広く薄く負担しあう制度です。
政府はこれらの三つの方法を示し、国民の皆さんにどの制度を支持するのかを訴えたいとしています。選択するのは私達国民であり、将来の自分のことを考える必要があります。
実態経済を担っているのが私達国民であり、金融はそれを下支えしている存在です。実態経済を動かしている私達がこれからの社会保障制度について考える必要があります。
また何故消費税なのかについても提言がありました。消費税は安定性があり公平性があることが理由です。付加価値税の良い点がこの二点です。既にわが国が高度成長できる条件はなくなっています。高度成長のための前提条件が消えていることから、過去のような経済成長は見込まれません。それは高度成長時代の円相場は1ドル360円でしたが、現在は1ドル70円台となっています。そして石油価格も1バーレル2ドル程度だったものが、現在は1バーレル100ドル程度になっていることです。資源がなく輸出で経済を支えているわが国ですから、資源価格の高騰、そして円高の影響からすると今後高度成長することは考えられないのです。
現実を見て低成長かつ高齢社会に備えた税と社会保障改革の必要性があるのです。今は与野党とも足の引っ張り合いをしている時期ではないのです。これからの社会のあり方を考えた制度設計をすることが大切なことです。これが野田総理に課せられた大きな仕事なのです。