活動報告・レポート
2012年1月30日(月)
住友金属
住友金属

和歌山市にある住友金属和歌山製鉄所が新高炉を建設しています。完成すると高炉の中には入れないため、ご好意により新高炉建設現場の見学をさせていただきました。高さ110メートルの新第2高炉の建設現場に入ると巨大で、ここで鉄が生み出されるところを想像すると、かつて言われた鉄は国家という言葉が浮かびますし、巨大産業が日本を支えていることを実感します。鉄に代表される基幹産業を守ること、疎かにしないことがわが国にとって大切なことなのです。

鉄、電気、鉄道などがなければ、資源がなく工業製品の輸出で外貨を獲得している日本は成り立ちません。基幹産業は重厚長大でスマートな時代にそぐわない空気がありますが、そんなことは絶対にありません。今もこの国を支えている産業ですし、和歌山市にとっても住友金属和歌山製鉄所の存在は大きな位置を占めています。

さて昨今の製鉄の事情ですが、世界中の製鉄会社が巨大化していることから一つの製鉄工場の規模は年間1,000万トンの生産能力が必要とさせています。それと比較すると和歌山製鉄所の生産能力は現在年間450万トンで、この新第2高炉が完成した後でも、年間520万トンの生産能力ですから、世界を相手にするには規模が小さ過ぎます。世界を相手にするための投資をしていますし、新日鉄との経営統合も世界を相手にするために必要なことだと思います。

生産能力の増強が課題ですが営業面でも更に課題はあります。鉄の国内需要が飽和状態にあるため、需要を外国に拡大する必要性があることです。一般的に鉄の需要は国民一人当たり年間700kgから800kgだとされています。日本はそのレベルに達しているので、これ以上の伸びは期待できないのです。

そこで外国に視点が向きます。インドでは国民一人当たりの消費量は年間100kg以下ですし、中国でも400kg程度になっています。人口と鉄の消費拡大見込み量を勘案すると、これらの国への営業がどうしても必要となります。

過去、これらの国において品質の良い日本製の鉄を必要とされていましたが、今では自国の鉄を使用するように変わってきています。品質の差はあるものの、新しい技術を直ぐに真似るので一見、違わないように見えるものです。仮に製品の品質レベルが同等になったとしても、鉄の先進国として見えない部分のノウハウや施行時の技術レベルに差がありわが国は優位性を保っていますから、この部分が売り込める材料となります。つまり製品力だけではなくて、総合力で勝負しなければ勝ちぬくことは難しい競争時代になっているのです。住友金属和歌山製鉄所では世界を相手にこんな競争を繰り広げているのです。地元として大切な存在であることが分かります。そして和歌山市の工場が世界を相手にしていると知ることで誇りを持てます。

地元企業が世界を相手に競争を勝ち抜いて発展してくれることが、和歌山市の発展につながるのです。企業と共存することが地方都市にとってとても大切なことです。今の企業は環境にも力を入れていますし、地元との利益と相反することはありません。むしろ雇用や消費、税金など、地元にとって利益を得ることが多いのです。

住友金属の場合、ブラジルで工場を建設していますが、ここでは熱風を送るための燃料は石炭ではなくてユーカリの木、つまり木炭を使用しています。地元でユーカリの木を育成し、それを木炭にしているのです。ユーカリの木が成木になる期間は7年ですが、それを使用することを計算してカーボンオフセットをしています。地球環境問題への対応をしっかりとしている企業なのです。

そんな和歌山製鉄所に新第2高炉を建設してくれていることは嬉しいことであり、安全に建設を終え、火入れ式を迎える日を楽しみにしています。

その他
  • 地域でのソーラーシステム導入の可能性についての協議を行いました。
  • 福祉施設におけるヘルパーによる高齢者のタンの吸引などの取り扱いに関して状況を確認しました。
  • 和歌山フラメコン協会の今年開催予定のライブに関して協議を行いました。
  • 和歌山県の観光に関する打合せを行いました。和歌山県が力を入れているインバウンド観光に関して、受け入れ態勢をどう整えるのかの話し合いをしました。