活動報告・レポート
2011年11月10日(木)
社会経済研究所記念講演会
メディア・ユニバーサル・デザイン
メディア・ユニバーサル・デザインについての意見交換

和歌山県庁内でメディア・ユニバーサル・デザインについての意見交換を行いました。メディア・ユニバーサル・デザイン協会和歌山支部長以下の皆さんが県庁にきてくれて、障害福祉課を初めとする各課の職員さんに説明を行った後に、約1時間意見交換を行いました。

打ち合わせの段階で個人的な考え方を述べました。メディア・ユニバーサル・デザインの導入は特定の部門だけの仕事ではなくて、仕事の中に普遍的価値として自然に取り込むことが望ましいと考えています。つまりわざわざメディア・ユニバーサル・デザインのために仕事を作り出すのではなくて、定型的な文章を作成する時やチラシを制作する時に、当然のこととしてその考え方を折り込むことが望ましいのです。文章は何時、誰が何をの順に配列していきますが、その時に読み手が読み易い様に、高齢者向きのチラシでは活字のポイントをやや大きくすること、視覚障がい者にはデザインや色の工夫をすること、外国人向けの場合は、英語や中国語の併記など、やって当然のことだと担当者が仕事を進めて欲しいのです。

また実際に、和歌山県庁内の案内表示も確認しました。文字が小さくて見えにくいことや、部屋の位置図が分かりにくいことなどが実例としてありました。考え方としては、県庁内で仕事をしている人向けの案内表示にするのではなくて、初めて県庁を訪れた人でも分かるように親切な案内板表示に改良すべきです。

さてメディア・ユニバーサル・デザインを必要としている人は国内には相当数存在しています。メディア・ユニバーサル・デザイン協会和歌山支部の資料によると、わが国にいる外国人が227万人、全盲の方が19万人、弱視の方が100万人、色覚障がい者が320万人、その他の障がい者の方が695万人、子どもが1,694万人、高齢者の方が2,957万人となっています。実に対象者は4,400万人にも及ぶのです。これだけの方がもっと工夫をしたパンフレッや案内表示を必要としていると思われます。もし4,400万人の方が今の媒体での発信で不自由を感じているとしたら、4,400万人の方、つまり最大30パーセントの方に必要な情報か伝わらないこともあり得るのです。

避難マップや災害時の対応など、行政機関が制作している情報媒体がメディア・ユニバーサル・デザインの精神に則っていなければ、逃げられない、逃げ遅れる人も発生する危険性もあります。

そしてメディア・ユニバーサル・デザインは見易いので、健常者にも情報が伝わり易くなります。全ての人が視覚からの情報を的確に受け取れることが、情報社会においては快適な社会生活につながります。

印刷物の制作コストは、この考え方を取り入れたとしてもほとんど変わりません。全ての人が情報提供の対象となる行政機関の媒体からメディア・ユニバーサル・デザインの精神を取り入れて欲しいと依頼しました。現在は静岡県の取り組みが進んでいると聞きました。

先進地事例を参考にしながら和歌山県のあり方を考えます。

社会経済研究所記念講演会

財団法人社会経済研究所創立30周年記念講演会に出席しました。記念講演は千葉商科大学の島田晴雄学長で、「日本経済の展望と和歌山県の将来の可能性と課題」について話していただきました。

社会経済研究所記念講演会

初めに、民主党政権を批判する人がいますが、それがわが国の有権者の悪さであることの指摘がありました。国民の一人として政権政党を選択した以上、危機的状況の下においては支えなければならないことを伝えてくれました。民主主義とは批判ではなくて誰が良いのかを知って行動することにあります。有権者が現在の総理大臣が不適切であるなら、誰が相応しいのかを表明して支持することです。リーダーとして支持する人がいないのであれば、震災復興の時期において現政権を支えることをしたいものです。

さて日本が衰退している原因はいくつもありますが、希望格差社会であることもその一つです。希望が持てない社会は活力を生み出せません。特に若い人に希望がないことが問題です。30歳代以下の失業者は約140万人、フリーターが約400万人、ワーキングプアが約600万人います。合計約1,000万人の若い人に仕事がない、または正職員になれない現実があります。

1,000万人の人が希望を持ってない社会に活力がある筈はないのです。経済も向上することはないのです。更に不安なことがあります。平成24年卒業予定の大学生の就職率が90パーセントを越えたと報道されていますが、それは国公立と一部有名私立大学の学生の統計で、全国760大学の4年生の就職内定率は50パーセントに達していないのです。つまり大学の格差が広がっていることも現実で、これから格差は益々広がります。この希望格差社会をなくす政策が必要なのですが、対応できていないようです。

そして東北の大震災における原子力発電所の事故は人類史上最悪の事故であると説明しました。外国人の見方は、日本は核攻撃を受けた状態にあると認識しています。その見方は核攻撃を受けた後の状況となっていて、放射能処理にどう対処していくのか軍事関係者は注目しているようです。これが世界の見方であると伝えてくれました。国内にいる視点とは違いがあることを知りました。有識者の意見として参考にしたい意見と捉えています。

しかし講演者は危機からの脱出は可能であると信じています。第二次世界大戦後の日本が経済成長を果たした事例があるからです。一世代前の日本人が達成できたことを我々にできない筈はないからです。戦後、日本人が改革を進めたのは現行体制を変えることからでした。軍隊廃止、財閥解体、農地改革、教育制度など戦前の制度を改革しました。その社会を変える改革が戦後の発展につながったのです。

その後ろにはアメリカの存在があります。日米安保条約によって日本は他の国の攻撃から守られていることも事実として認識すべきです。アメリカの軍事的保護のお陰でわが国の防衛費はGDPの1パーセントに過ぎず、しかも戦争に巻き込まれていないのです。

ヨーロッパの国々の防衛費はGDPの2パーセントから3パーセントの水準にありますが、それでも戦争に巻き込まれています。その現実を見た国づくりが必要です。沖縄の基地問題も安保条約を抜きにして語れません。日本の安全保障はして欲しいけれど、米軍基地は撤退しろという理屈は成り立ちません。自国で防衛を行うのか、日米安保を継続するのかの判断をすべき問題で、どちらも嫌だという選択肢はありせん。正確にはどちらもNOという選択肢はありますが、その直後から他国からの攻撃の脅威に曝されることになります。

その選択は私達が真に望んでものかどうか、マスコミ情報や世論調査からではなくて自分で判断する力を養いたいものです。

世の中に正解はないのです。歴史や国語にも正解はありません。正解は論理とチャンスと声の大きさで見つけ出すべきものです。世界の中で勝つためには自分で正解を作り出す必要があるのです。

要約すると以上のような講演内容でした。入手する情報の正確さや、得られた情報を自分で分析して対応することの大切が分かります。

その他
  • 自衛隊の問題について会社経営者と話し合いました。災害への対応で自衛隊の活動に感謝しているというものです。国を守ること、国の安全を確保することの大切さと自衛隊の必要性を感じたと話してくれました。
  • 病院で治療を続けていたTさんご夫妻が訪ねてくれました。お二人ともすっかり元気になり、本当に嬉しく思いました。いつまでもお元気で活躍して欲しいと願っています。