和歌山仏像彫刻同好会による仏像展が開催されています。毎年、楽しみに参加しているのですが、今回は大勢の来場者で賑わいました。出品者の人数が増えていることや作品数も多く見応えがありました。
仏像の素晴らしいところは仏様の顔にあります。優しくて柔和な顔の仏像は見る人の心を和ませてくれます。木から仏像を彫り出す作業は根気が必要です。
仏像彫刻を習い始めたMさんは、その難しさを「3D作品の難しさ」だと表現してくれました。つまり仏像を彫り始める際に参考になるのは写真や絵です。平面の仏様の顔を立体的に制作するために彫刻を入れます。平面を立体のイメージに発展させることが難しいようです。
彫刻を入れる際に、立体で仕上がった時のイメージが浮かぶことが大切です。初心者にはそのイメージが沸かないようです。「ベテランは簡単に彫りますが、同じようにいきません」と話してくれたように、ベテランの彫刻には何十年という時間が刻まれています。それが経験を重ねた人の強みです。
案内していただき感謝申し上げます。
日赤病院にKさんのお見舞いに伺いました。まだ手術をした直後で発熱があることから少し赤い顔をしていました。約1時間、話をしていると夢中にになっていつものKさんに戻りました。
台風12号被害による新宮や那智勝浦の被害は相当なもので、復旧作業を行っている間はホテルにも宿泊していますが、見込みが立って宿泊客が引き上げると観光面での打撃があることを懸念しています。もし那智勝浦のホテルが打撃を受けると観光産業に頼っている現状から見て町の経済は厳しくなります。何としても立て直して欲しいと依頼を受けました。そのために東牟婁振興局内に災害復興支援対策本部といった組織を立ち上げ、3年程度、復興に向けた指揮が取れる体制と予算措置を図って欲しいといものです。恒常業務ではなくて特別に支援体制を取らないと復興は難しい状況にあると説明してくれました。
Kさんは新宮や那智勝浦の地域事情に詳しいので、復旧から復興に向かうこれから先のことを心配しています。観光客が減少している「新宮や那智勝浦の観光事業が厳しくなるのはこれからです」と心配してくれています。この地域の観光産業について地元の方の意見を聞き取りながら対応したいと考えています。
建築家との懇談の中で素敵な話を伺いました。木造住宅を設計する時、建築する時に気をつけていることがあるというのです。それは材料となる木に心を込めることです。木は生きているので人が温かく付き合わないと寿命が短くなります。木に話しかけて摩るように接することや木に手で触れることも大切です。木は生きているので、人の呼吸、そして温もりが必要なのです。人の生活や活動に接することで家の木は長持ちします。人の出入りしていない木造住宅が冷たく感じたり、早く老朽化するのは人に触れていないことで人の氣が入らないからです。
木は生きている。設計図面を引いている建築家が話してくれたことに驚きました。見えないものが人間社会を支えていますが建築の世界でも同じだったのです。木を単なる材料として粗末に扱う建築家は後世に残る良い仕事はできないのです。
一つひとつの仕事に対して、気持ちを込めて大切に行うことが人と接する建築材料に伝わりますし、材料がよければ良い仕事が完成します。木に心がある、だから人と接するようにしたい。何とも温かい話です。