紀伊風土記の丘でお三味線の演奏会があり参加してきました。紀伊風土記の丘内の旧家での長唄とお三味線の演奏は雰囲気があり、日本文化は素晴らしいと感じました。そして紀伊風土記の丘での演奏会開催は稀で、会場には多くの人が来場され音色を楽しんでいる様子でした。私は高齢者の方など6人で参加したのですが、足でリズムを取ったり、童謡の演奏になると一緒に歌ったりと秋の一時を楽しんでくれました。
「久し振りの演奏会を聴くことができ楽しめました」と帰り際に話をしてくれたように、日常の中に音楽があることの楽しさを感じてくれたようです。
演奏終了後、主催者からお礼の連絡をいただきました。「聴かせてもらってお礼を言うのはこちらの方ですよ」と伝えましたが、少し嬉しいエピソードを話してくれました。それは障害者の方に自然の中で焼き物などを教えている自然塾の紀峰村塾が和歌山市内にあります。そして素晴らしい教えを子ども達に伝えてくれています。ここの主宰者が今日演奏してくれたお三味線の師匠の父親の友人だと言うのです。不思議なご縁です。そこから私のことを聞いていたことから嬉しい連絡をいただきました。小さな喜びがこのように与えられることに感謝しています。
第13回目を迎える和歌の浦万葉薪能。秋晴れの中、午後4時30分から始まりました。私は来場者に座布団をお渡しする役割をいただき、皆さんに挨拶と共に心からお迎えさせてもらいました。和歌の浦の片男波公園野外ステージでの狂言と能は格別です。この環境の中で日本文化を楽しめる贅沢さは味わった人でないと分かりません。日常生活から離れて心の贅沢を感じられる瞬間。心が休まり、そして日本文化から日本の伝統美が沁みてくるようです。
舞台を上に見上げるとお月様が微笑んでいます。月光を浴びながらの観劇、そして月光浴の中に身体を置くことで心身が現れる体験ができました。
そして舞台です。狂言は昔のものではなく現代を風刺するものです。その昔の時代、お役所と民間人との会話の場面があります。法律により禁止されていることがありました。民間人が心ばかりのものを役人に提供するとそれを受け取り、その民間人の思う方向へと物事が進みます。その風刺は、人の心は今も昔も変わらないことを伝えてくれます。勿論、狂言ですから可笑しくして嫌味のないように教えを伝えてくれるのです。人の心は変わるものではないことを学ぶと、今までの世の中がどうして動いてきたかも分かります。全てがきれいな心で動いてきたものではなくて、天が必要に応じて時代の配役を決めてきたのです。清廉な人とそうでない人がキャストとなり時代を彩ってきました。正義を知るために悪が存在し、悪が勢力を伸ばしてくると正義が現れます。これを繰り返しているのが時代です。悪のあるところに正義があり、正義があるところに悪があります。両者は表裏一体のもので、人に心がある限りなくならないことを知っておくべきです。時代は駆け引きの中でドラマを誕生させ、そして今の時代に辿り着きました。平成の今もドラマは続いています。悪も正義も登場していますが、それが時代を築いていることは事実です。そんな時代の中で自分はどんな役割を担おうとしているのか。そんなことを思わせてくれる狂言でした。狂言「佐渡狐」。万葉の景色の中、月光の下で演じられました。歴史の舞台で時代を風刺し、月は人の心を浮き上がらせてくれました。
どれだけ自分を正当化しても事実として人を騙している人は、それはいつか暴かれます。救われることは、そのいつかとはそんなに遠くないことです。騙した人の周囲がそれに気付き、悪人の行動や残したものを照らし合わせると騙した手口が浮き彫りになります。
この狂言は、悪はいつの時代も存在するものですが、それほど長くは続かないこと。そして悪は人から相手にされなくなるので消え去る運命であることを教えてくれました。
小中学校の授業で、能を取り上げることが決められていると聞きました。事実、和歌山市立ふじと台小学校では三回能の授業を行ったようです。能の先生が学校に入って授業をしたところ、生徒は関心を示してくれていたようです。ところが先生に能の知識がなく、それだけでは継続性がありません。できたら先生を対象とした能の講座をしたいと申し出がありました。
確かに能は授業で習いますが、能と狂言というテーマで通り過ぎただけのような記憶があります。当時は見たこともどんな内容なのかも分かりませんでした。大人になって、運良く能や狂言に接することが出来ているので、ここから学べることが分かっていますが、接点のない先生はそれが分からないと思います。生徒に教える立場の先生に能を知る経験をして欲しいと思います。教育委員会と協議をする予定です。
高校のPTAの懇親会に参加しました。薪能を終えてからなので遅い時間からの参加となりましたが、久し振りに日付が変わる時間まで懇親を楽しみました。先生と保護者の交流、そして保護者同士の交流があると力が集まるものです。安心感があるところから次の事業が展開されていきます。
文化祭、体育祭が終わり、この後は来年度に向けての事業計画の策定に入ることになります。平成24年度は全国高校PTAの全国大会が和歌山市内で開催される予定です。何十年かに一度の大会が和歌山県に巡ってくることになりました。役員の皆さんは今から心待ちにしています。