活動報告・レポート
2011年10月6日(木)
被災地支援
被災地支援

熊野川町へ復旧支援ボランティアに行ってきました。午前6時20分、JR和歌山駅から出発するボランティアバスに乗り込み、そのまま熊野川町に向かいました。昨日の雨で本日の活動の動向を気にしていたのですが、晴れ渡ったことから予定通り現地の受け入れが整っているので熊野川町に降り立ちました。

途中、自家用車で熊野川町に向かうボランティアと合流したのですが、知り合いが一緒のボランティアをすることになると気持ちは一気に盛り上がります。

さて熊野川町のボランティアセンターに到着するとスタッフが迎えてくれました。センター内にはボランティアの注意事項を貼っているのですが、一番気に入ったのは「笑顔の準備は大丈夫」というチェック事項でした。どんな場面でも笑顔が大事、苦しい時でも笑顔で挨拶をすることが人間関係の基本です。被災者の自宅に向かうに際して必要なチェック項目です。

私達のグループの担当は熊野川沿いにあるお医者さんの医院兼自宅です。川沿いの自宅は二階部分まで水で浸かり、二階のテラスの物置まで水の力で移動させられていました。つまり一階は全部浸水していたことになり、室内は泥と使えなくなった家具などどこから着手したら良いのか分からない状況でした。

私は室外の庭に蓄積している泥を自宅の外に出す作業を担当しました。庭に溜まった泥は熊野川の水位が増し、水と共に流れてきた泥で、厚さ20センチから30センチもありました。一見すると簡単な作業に思ったのですが、実行してみると大変なことだと思いました。スコップを差し込むと粘土のように柔らかく固まっていて、しかも水分を保っている泥なので思っている以上に重いのです。スコップを差し込んで抉り取る動作を行い、スコップに泥を取ります。そのスコップを庭の外に投げるのですが、投げて泥を外に出すためには高い塀を越す必要があります。180センチ強の塀を越えて何度も泥を投げるのはタフな作業でした。重さと屈みこんでから投げ上げる動作は腰と腕に負担があり、「これは大変だ」と思うのに時間は必要ありませんでした。当初2人でも十分片付けられると思っていたのですが、4人で泥を取り除く作業を行い、元のコンクリート面が出てくるまできれいに取り除くことができました。相当な量の泥を取り除いたと思いますが、それでも個人の自宅の一部分に過ぎません。これだけの人数と時間を要して作業できたのは庭の一角ですから、自宅を元の状態に戻すにはどれだけの作業量と時間が必要なのは計算できません。細かい箇所は重機類を使用できませんから、人による作業に頼ることになります。

被災地支援 被災地支援

結局、復旧するためには人手が必要なのです。ボランティアに来てもらうことが復旧の早道であり、それがないと復旧はあり得ないことが分かります。大災害になると素人の力は小さいものですしボランティアの力は限られていると思うこともありますが、実際に泥が積み重なった家に入ってみると、個人の力がどうしても必要なのです。ボランティアの力なくして復旧はありません。小さな力ですが数が集まれば大きな力となります。復旧にはその力が絶対に必要なのです。

ボランティアの力は偉大です。作業をしても何の見返りもありませんし、休暇と時間、そして費用負担をするだけ金銭的には損をします。しかし復旧に関わっているという実感、役立っている必要とされているという実感、そして一緒に汗を流すメンバーがいることの心強さがあります。今回はたった一日のボランティアですが、同じ復旧作業に当たったというだけで絆が芽生えたことを感じます。そして知り合いと被災地で会うと不思議な感じがあり、導きあった同士のように感じるのです。街中で会っても「やぁ」程度ですが、被災地で会うと「一緒に頑張ろう」という気持ちになりますし、つながりを感じます。

それにしても日頃慣れていない作業をすると体力の回復が遅く感じます。動いているつもりでも、日頃使っていない筋肉を使うので疲れが発生するのです。内なる力を鍛える必要性も感じました。

被災地支援

夕方まで作業を続け、再び熊野川町のボランティアセンターに戻りました。明るい声と笑顔でスタッフが迎えてくれました。この瞬間、充実感がありますし、来て良かったと心から思います。スタッフも連日の作業と迎え入れで大変ですが笑顔を絶やしません。この笑顔に救われます。スタッフは地元の皆さんの他にも紀の川市、岩出市、和歌山市、大阪市などから来てくれています。日本の底力はボランティアに参加する人、関わる人が支えています。日本の底力を信じることは自分の力を信じることです。笑顔で熊野川町を後にすることができました。被災地においての笑顔のリレーが始まっています。このリレーに一人でも多くの人が参加して欲しいものです。

それにしても、熊野川が増水し川沿いの民家が床上浸水になってしまったことは信じられないことです。私達の力で復旧を加速させたいものです。参加された皆さんお疲れ様でした。