早いもので、もう彼岸に入りお墓参りに行きました。秋の日のホッとした感じのあるこの頃は虫の鳴き声も佳境に入っています。次につなげる命を残そうと最後の炎を燃やしているその鳴き声に聞き入ります。
二箇所のお墓に参りましたが、いつもきれいなお花が添えられています。子どもの頃から不思議に思っているのですが、いつもお墓はきれいに、そしてお花で飾られています。故人の喉が渇かないようにとお水も絶やさないでいます。温かく感じられる陽だまりの中、普段は滅多にない、ゆったりとした時間が流れました。
巨大な権限と情報を持っているのが行政です。そんな権限が集中しているのは憲法第65条において行政にその役割が与えられているからです。立法権、司法権と行政権の三権を分割して権限を一つに集中させないようにしているのですが、その中でも行政権が肥大化してきているような気もします。それは国家の権限のうち、立法権と司法権を除いたもの全てが行政権と捉えるのが通説で、二権を除いたものの権限が大きいのでその仕事量が多く、行政を実行する機関のある行政機関が巨大化しているのです。何でもそうですが、巨大化すると人とモノが集まります。そして情報も集まります。まして行政権を有している機関に情報が集中するのは当然の帰結です。
勿論、行政機関に情報が集中しないと適切な仕事はできませんし、判断を誤る恐れもありますから、早く的確な情報が集まるようにしているのです。
ここからが議論です。私達が仕事を託している筈の行政機関ですが、巨大化していることから私達個人の意見が通らないことが多々あります。そんな巨大な行政機関に対向するために必要なことは何でしょうか。
地方においては、有権者の代表として選出された地方議員が、県民市民の代表として行政機関で発言する機会を有しているのです。個人としての意見が聞いてもらえない環境にあれば、県民、市民の代表である地方議員が議会で意見を代表して言うことができるのです。予算編成権のある首長の強大な権能を監視することができるのが地方議員ですから、地方行政機関に対して対等にものが言えるのは地方議員です。
ただ地方議員が行政機関と対等に議論を交わすことは圧倒的に不利な立場です。何故なら、情報量が少ないこと。調査や研究は組織に対して個人で行っていること。残念なことに行政に関する知識は行政職員が優っていることなどからです。
唯一対向する方法が有権者の意見を代表できることです。行政機関は巨大ですから小回りが効きません。議員は有権者の皆さんの意見を個別に聞くことができますから、直接、今の地域の問題点を確認することができるのです。議会おいてはそれが大きな武器になります。勉強もしますし調査もしていますが、それだけでは行政組織に対向できないのです。しかしそこに有権者の意見が加わると、議会で対等の戦いができるのです。小さな有権者の意見が届いていない行政機関に対して直接的な意見を吸上げている議員は、世論と問題の本質を武器にして議会で首長や当局と議論することができるのです。
問題は常に現場にありますから、現場を知ること、現場の意見を聞くことが議論をする上での武器になるのです。会社ではお客さんの意見を、組合なら職場の意見を、議員から有権者の意見を聞くこと、知ることが必要です。そこから必要な商品、会社への提案、そして政策が生まれるのです。つまり行政機関と同じ目線、同じ立場にいるならば、地方議員は不必要といえます。違う目線に立ち、違う立場を分かっているから議会で議論する意味がありますし、議員の存在価値があるのです。
今日、ある経営者と交わした意見も大切な現場の意見です。現場の意見をどれだけ持っているか。どれだけ覚えているか、これはどれだけ文章として保管しているかが鍵になります。大切な意見交換をしても、それが頭の中から消えていたり、議会での必要な時に出てこないようなら意味はありません。
聞いた意見で大切なものは整理しておくこと、いつでも引き出せるようにしておくことが大切なのです。それは毎日、続けなければならないのです。積み重なった現場の意見が武器に変わります。
お互いに納得しあえる話し合いになりました。意見を交換する、その中での大切な意見が文字として記録される、そしてその意見が世に出る機会を待っている状態で文字として保管されていることが、意見交換を実のあるものにする方法です。作業としては、意見交換、手帳に記録、パソコンなどに発言の主旨と自分の考え方を整理して記録することになります。この作業をしておくことで交わされた意見が武器になるのです。意見交換をしてメモもしない、記録もしない、自分の見解も残さないようでは、意見交換した直後から貴重な意見が消えていきます。それが改善されない秘密です。それがまちが良くならない秘密です。土台を造っても基礎の部分がしっかりしていないので、直ぐに崩れるのと同じです。そうすると、次の意見交換でも同じ意見が交わされることになります。「何も変わっていないよね」と、自分たちの意見交換が実を結ばないことに気づかないで、同じ議論を繰り返します。やかで、何を言っても変わらないので意見を出すことも変わる姿勢もなくなります。そうしてまちは静かに眠った状態でいるのです。
そんなことを繰り返さないためにも、意見交換、必要部分のメモ、見解を付した記録を行っています。