活躍中の若手経営者と懇談する機会がありました。近くまで行ったので事務所を訪ねたところ丁度、良いタイミングで時間がありました。行政関係者の訪問があり、三人で和歌山県のことを話し合いました。この経営者は東京で仕事をしてきて、現在は地元和歌山県に戻っています。少し前に和歌山市の体育振興の委員に選任されて、市のために役立つのであればという思いで委員を引き受けたのです。結果として1年で委員を降りています。この経緯の中にスポーツ界だけではなくて和歌山の問題点が潜んでいます。
委員会は複数人で構成されています。各会を代表する方々が委員として委嘱を受け、スポーツ発展のために尽くしてくれています。ただ委員が複数になると意見が対立する場合があります。対立とは議論を尽くすことで良いことなのですが、意見を出し合った末に接点を見出して、今まで気づかなかったことを自分の考えの中に取り入れ、自らの幅を広げることと、相手を受け入れることで市のスポーツ振興につながるような結論を導くことが大切なことです。それが委員会で議論することあり、活躍している分野も年齢も経歴も違う委員で構成する理由です。
ところがこの委員会の議論は、そんな展開になりませんでした。年齢の高い委員が固まり、その考えを押し通そうとします。この若い経営者が現代風のスポーツの効果的な練習方法や若い人たちの考え方を意見として提言すると、決まってその意見を否定にかかったそうです。
「昔の練習はこうだったし、私もその練習方法で結果を出したので、今その考え方には賛成できない」、「練習は昔も今も変わらない。昔から確立してきた方法があるので、若い人が思っているように変えるのは問題がある」、「負荷の掛からない練習はありません。厳しい練習が練習といえるのであって、楽しい練習で成果があがることはない」などの否定意見ばかり言われ、委員に就任した当時の意欲が減退していきました。
昔の方法、自分たちの現役時代のやり方がずっと続く正しい練習方法だと思い、その考え方を譲らないのです。譲らないだけではなくて現代風の練習方法や精神論を受け入れないのです。若い委員の意見が取り入れられないまま議論が進み、1年が経過した時点で退任を申し入れたのです。若い力を、そして外からの文化を取り入れられなかったことは残念なことです。
確かにスポーツの練習は厳しいものであり甘えだけでは上達しません。しかし根性論だけではなくて、科学的な練習方法や若い人がスポーツを続けられるようなやり方もあります。それを知っている委員の意見を全否定して昔のやり方を押し通すことは如何なものでしょうか。スポーツの競技力は向上していますし、練習方法や効果のあるトレーニングの考え方は進歩しています。和歌山県方式で押し通すことで、今も結果が出ていたら問題はないのですが、国体や全国大会での成績を見ると、和歌山県の順位は下から数える方が早い順位です。それだったら他の府県が採り入れている練習方法やトレーニングの考え方を幅広く受け入れることも必要です。
そんな意見が採用されない委員会はであれば、この経営者にとって時間の無駄です。仕事の時間を削って市に役立つと思って委員を引き受けたのに、意見を聞いてもらえないのであれば本業に専念する方が地域のため、そして練習に来ている生徒のためになります。
こうして知識や技術を学んできた若い人の地域で発言する機会が失われていくのです。もし同じような依頼が来たとしても今度は引き受けないからです。経験は大事ですが、若い人の考え方を採り入れることも大事です。世代を超えて、経験を超えた歩み寄りをしないことには社会の発展はありません。
これはスポーツに関わる委員会の出来事ですが、他の分野でも見受けられる光景です。同じことを繰り返さないように今日の意見をしっかりと受け止めました。若い人の意見が聞き入れられる環境が必要です。
和歌山市内のカルチャースクールの成果発表会がありました。多くの種目の舞台がありましたが、森久美子先生のフラメンコの発表を観てきました。練習を続けている生徒にとっては一年に一度の発表の舞台です。今日の日のために厳しい練習を続けてきたことは想像できますから、観ていても応援したくなります。舞踊団のようにはいきませんが、「頑張って」と声が出てきます。
観客席は舞踊団の時と違って、生徒の家族や関係者が多く見受けられます。舞台に立つ子どもの姿をドキドキしながら観ているようです。会場全体がドキドキするような空気に包まれていました。
やがてこの中から名を成す舞踊家が登場するかも知れません。そんな文化度の高い和歌山市であって欲しいものです。
- 来月開催予定のクラシックコンサートに関して打合せを行いました。花束贈呈の小学生が決まり、改めてシナリオの確認をすることにしています。
- 市内を流れている和歌川沿いの地域を歩きました。台風の影響はなかったことでホッとしています。しかし堤防の高さの問題や避難場所など、これから協議することがたくさんあります。災害から地域を守ることの話しを続けます。
- 対中国との関係について、中国事情に詳しい方から話を伺いました。誰が政権を担っても、対米と対中関係を両立させることは難しいことです。大きな課題として大きく横たわっています。