和歌山県のスポーツ環境が弱いとの指摘を受けました。全国でトレーニング指導を行っているトレーナーが和歌山市にいます。まず専門的な指導を受けられる施設がないこと、スポーツに親しめる設備が少ないことなどを挙げてくれました。スポーツと健康に相関関係があるかどうかは分かりませんが、過ごし易い県なのに平均寿命が長くないのは、何か関係あるのかと思ってしまいます。
また体育科のある和歌山県立北高校の体育設備、練習環境についても、その脆弱さを問題にしました。開校から50年を迎えようとしている高校ですから設備が老朽化していることは仕方ないにしても、そして設備だけを問題視することは問題だとしても、やはり古いのが気になります。練習する環境が良くないことは選手能力の向上ややる気にも影響があると思います。北高校は良い指導者に恵まれていると言っても、優れた練習環境は確保したいところです。
陸上のトラックは土だったのを競技用の素材のトラックを一部分ですが設けたところ、トップレベルの選手は全国一を連覇し、その次に控えている選手達も記録が伸び全国大会の上位に食い込むなど、早速成果をあげています。やはり練習する環境を整えることで記録が伸び、素質が開花することがあるのです。そして結果を残した分を、後輩達のために設備改修をしてくれたら、やりがいにもつながります。
陸上競技の練習場は少し改良されました。しかし他の競技の練習場所は脆弱なままです。例えば水泳練習用プールの距離は25メートルしかありません。競技では50メートルですから、スピードの感やターンの感覚が練習によって学べません。しかも屋外プールのため冬場は練習できませんし、晩秋においてはテントを被せて練習しているのです。テントを屋根にするだけでも時間がかかりますし、テントを畳むのも時間を要します。その時間だけ練習時間が減少するのです。他の体育科を持つ学校と比較して、大きな不利を被っています。
他にもあります。柔道場は公式競技用よりも狭くなっています。基礎トレーニング設備は、民間のトレーニング用具の入れ替えて古くなったものを頂戴しています。モノを大切にすることは良いことですが、相当古い器具で、しかも約半数が故障で使用できないのです。またボートの練習場は狭いブロック小屋で、この中で黙々と練習をしても楽しくなさそうです。それどころか競技に希望が持てなくなるような気がしました。注目されている環境は練習に身が入ります。見られずにほっとかれる環境では練習に身が入りません。グラウンドから離れた狭い部屋の中で見られない環境の中で練習を続けることは辛いと思います。全国で二番目の歴史を持つ北高校の体育科です。全国で最先端の練習設備を整えて全国から注目されなければならない存在です。
平成24年度から新しい北高校が誕生します。体育科も名称変更しますから、これを機に、練習環境を新しくしたいものですし、練習に熱が入る、そして希望の持てる練習場にしたいと考えています。是非とも体育科に相応しい練習環境を整えるための予算化を図りたいものです。
台風12号による被災地を訪れました。田辺市大塔村に入り各地を調査、そこから川湯温泉、本宮町に入り各地を調査しました。大塔村では田辺市役所大塔村行政局で概要説明を受けました。大塔村熊野では大規模な自然ダムが発生していて取り除くことは困難な状況であることが分かりました。自然ダムとは、山が崩れ落ちることによって大量の土砂が川を塞ぎ、そこがダムのような状態になっていることを指します。もし大雨が降ったり、次の土石流が発生した場合、自然ダムは決壊、下の集落に大量の水と土石流が流れ込む災害につながる恐れがあります。国土交通省からの調査が行われていますが、自然ダムの下流にセンサーをつけ自然ダムの状態を調査している段階です。
現時点ではどの程度の雨量で決壊するのか不明ですが、一時間に10ミリの雨で溢れるという一部情報もあり、予断を許さない、そして一刻も早い解決が求められています。ところが自然ダムのある場所は道路幅が狭くて作業車が入ることが容易ではないこと。そのためポンプ車が入れないので水を汲み出すことも簡単ではありません。空からの搬入が考えられますが、上手く行かない状況です。
大塔村熊野の山頂に、道なき道を登り、上から自然ダムを見ると、その規模の大きさと、決壊した時の影響を考えると、迅速な対応の必要性を実感できます。この地域の自然ダムは、山が地すべりでそのまま下にズレ落ちている状況です。つまり山が移動した感じで、安定していない土砂が下にある川を覆っています。大雨で岩盤が不安定ですから、次の土砂崩れが発生しそうな感じなのです。
また山に縦のクラック、ひびが入り、少しの衝撃で山崩れが発生しそうな状態でもあります。現地に入ると、地盤が緩んでいる山に大雨が降ると次の土石流になる恐れがあることが分かります。報道だけでは分からない実態が現場にはあります。多くの人が想像しているよりも酷い状態で放置されているのです。
また実際に洪水被害を受けた家屋も訪ねました。川が増水し家屋に向かって水が流れ込んできたようです。一階部分は全て水に沈み、土砂で家屋内は埋もれ、当然のことですが電気製品や家具は使用できない状態になっています。家族で土砂を家屋の外に運びでしていましたが時間のかかかる作業です。
「これまで川が増水することはありましたが、ここまで来たのは初めてのことです。夜間だったのですが土地の高いところに逃げたので助かりました」という話を伺いました。逃げ遅れると生命の危険に晒されるところだったことが現地の状況から分かります。
情報の伝達速度と過去に無かった規模の災害に対して危険を感じる感性と行動が生死を分けます。一秒でも早い情報把握と迅速な避難行動が家族を救います。
川湯温泉や本宮地域でも建物の一階部分は水浸しで、大雨、そして土石流の怖さと被害の規模の大きさに言葉はありません。正に想像以上という言葉で表現する以外にありません。普段は穏やかで川幅も広い熊野川ですが、ここが増水して熊野本宮大社の上り口付近まで水位があがったことは信じられないことです。今日はいつも通りの水位で穏やかな流れに戻っていましたが、確かに川の水は茶色に濁ったままでした。ここでも建物の一階部分の扉が開けられ家具などを外に出していたことから、床上浸水していたことが分かります。洪水と土石流被害への対応に向けて、来週の議会で補正予算の成立、そして復旧に向けた取り組みについて協議を行います。