夏休み。子ども達にとっては楽しい期間ですが、学習塾にとっても二学期に向けた夏期講習が続けられています。出席する子ども達は大変ですが、取り組む姿勢で興味深いことがあります。
夏期講習に意欲的に出席している子どもは、早く教室に着いて予習をしてから授業に臨んでいます。そして決して安くない夏期講習費用を支払ってくれている保護者への感謝の気持ちを持っていることから勉強が進んでいるのです。
一方、嫌々出席している子どもは、授業時間ギリギリに教室に到着し、授業を終えると質問をすることも無く塾を後にしています。保護者が費用を負担していることを何も感じていないようです。
この心構えの差が大きな実力の差として現れます。進んで勉強する子どもは成績が伸び、嫌々な態度の子どもの成績はそのままになります。夏休みの差は二学期、そして学年としての差になりますから、わずか40日の差が学校生活に影響を与えることになります。そのことに気づくことがとても大切です。
そして気づいて勉強をする子どもと、気づいても勉強をしない子どもに分かれます。問題は気づいても勉強をしない子どもです。この場合のセリフは大抵こうなります。「やろうと思えば何時でもできる」。
やろうと思えは何時でもできることは間違いない事実ですが、問題は今直ぐやろうと思わないことです。学校生活の今、勉強をしておかないと何時やるのでしょうか。高校を卒業してから、「今が勉強する時期だ」と思う人は少ないのです。周囲の環境が勉強をするものになっていないので、自分ひとりが勉強を続けるのは大変強い意志が必要となります。
つまり勉強ができる環境の中にあっても勉強をしようと思わなかった人が、その時になって勉強しようとは思わないのです。
今やっている子どもは、今が勉強をする時期だと思っているのです。そのスイッチを自分で入れることも能力です。何時かスイッチを入れたら良いと思っていることが、思うけれども実行できない最大の理由です。スイッチを入れられないことも能力です。
つまり「やろうと思えば何時でもできる」というセリフは、やろうと思う気持ちがないのでやれないと言うことです。大切なことなのでそれをやろうと思う人は、今直ぐやります。大切なことを後回しにしている人は、後になってもやりません。もしそれが対応しなければならない問題であれば、誰かが後始末をすることになります。問題を起こした本人が後始末をしないために、誰かが後始末に要する時間と費用を負担することになります。
今やれない人は他人に迷惑を掛ける人間になります。本人がやれないと思っている場合は、他人に迷惑を掛けることは少ないのですが、本人が「やろうと思えばやれる」と思っていてやらない場合は他人に迷惑を掛けることになります。何故なら、今直ぐやない人は何時まで経つてもやらないからです。
夏期講習教室に行くまで暑いし、休みなのに勉強をする気持ちにならないことも理解できますが、自分が行くと決めて保護者に費用を出してもらっているのだから、やろうと決めて出席すべきです。やろうと思っていない子どもの後始末は、費用負担をしている保護者のところに回ってきます。そのことに気づかない子どもは、社会に出てからも同じことを繰り返します。
保護者が後始末をしている間はまだ良いとしても、友人や同僚に迷惑を掛ける人になって欲しくはありません。仕事の後始末を友人に押し付けることや、事業が失敗した後始末を他人に押し付ける人がいます。やろうと思うスイッチを入れられないことや、同じことを繰り返してその癖が治らないもその人の能力です。社会で生きていくために必要なもの全てが能力です。夏期講習、何のため、誰のために授業に行くのか。やろうと思うスイッチを入れる訓練だと思って、暑い夏を乗り越えて欲しいものです。
一瞬の夏、一生の記憶が2011年夏の甲子園のテーマですが、子ども達には、一瞬の夏に一生の財産を手に入れて欲しいものです。