午前中は大阪市内に移動して関西議員団会議に出席しました。副幹事長をさせてもらっているため、10時からの幹事会と11時からの総会を進行いたしました。幹事会では第22回参議院選挙の総括と次年度の幹事会メンバーの承認、そして次年度活動計画について協議しました。参議院選挙結果からは、民意は政治情勢を理解しているので、政治家がブレたり、疑惑があると投票行為で世論を反映させてくれます。結果は民意を反映しているのと同時に、この国の方向性を修正してくれるものです。民意の高まりが政権交代を実現させましたし、参議院選挙では行き過ぎを防ぐ役割を果たしているのです。
そのため統一地方選挙においては、しっかとした地盤作りと支持を得られる取り組みが必要であることを共通の認識としました。
引き続いての総会では幹事会で確認した議案を提案し、会員の承認をいただきました。承認された活動方針に則って研修会や広報活動を実施して行くことになります。また次年度においても、引き続いて副幹事長を引き受けることになりました。
現在の経済情勢は想像以上に良くないこと、そしてここ数年は更に悪化して行くことを認識しました。土地価格が下落していることから資金が回転できないので金融機関を筆頭に不動産事業者や建設事業者の経営状況は悪化しているようです。そして東京でも土地が下落傾向にあること伺いました。一等地を除く地域の土地の価値は下落していて、平成6年頃に不動産を取得した事業者は苦しんでいるようです。不動産の価値が下落していることからオフィス事務所の賃貸料は下げ傾向にあり、当初見込んでいた収益を上げられない状況が続いています。つまり事務所の撤退や賃料の引き下げ圧力が加わり、経営が成り立たなくなっているのです。
金融機関としてもビルの資産価値が下落しているので、担保能力が不足していることから売却しても資金が回収できない状況が分っているので処分のしようもないのです。売却することで損失は表面化しますし、もし全ての金融機関がビルを市場に放出したとしたら、土地の価値は急激に下落するので日本経済は成りたちません。
東京の状況がそうですから大阪も同様です。まして和歌山県の土地価格はこれからも低落傾向に向かうことは予想できます。不動産関係者の事業運営は厳しさを増すことが予想できます。
ではこの資産デフレ傾向を止めることができるかが問題となります。見込みとしては歯止めが掛からないというのです。デフレは通貨の価値を下げる方向に向かわせます。事実円高の背景にはドル安、ユーロ安があり、これはドルとユーロの信頼が低下していることを示しています。まだ円の方が安全であると市場は評価しているのです。日本経済がデフレであり続け、国の借金が国と地方を合わせて1,000兆円もあるのに信用力があるのは不思議ですが、日本国の信頼があることが通貨の価値を高めているのです。もし日本国の信用がなくなると、国債が売られるのに対して引き受け人がいなくなり資金調達ができなくなることから破綻に向かいますが、2010年の現時点ではそんなことは考えられません。
それは日本国の信頼であり、国債の引き受けが主に国内で行われていることも要因となっています。ただデフレは通貨価値を下げますから今後とも安泰とはいえません。南アフリカやオーストラリアなどの経済発展が見込まれる国、つまりインフレ傾向に向かう国の通貨価値が上昇すると、円の価値がいつまで保たれるのか分らないからです。
それではデフレから脱却する施策があるのかどうかが問題です。デフレから今すぐ脱却する方法はありません。GDPギャップを埋めるための約30兆円の通貨供給を行えば脱却の道は付けられますが、今の日銀がそんなことをするとは思えません。政府にはデフレ脱却に有効な対策はないので、不景気を体験し続ける以外の方法を見つけるのが困難です。
金融政策を除くと当面は公共投資以外に有効と思われる施策はないので、必要な道路建設やインフレ整備に向かいたいところです。
ところで人口減少がデフレを加速させているようです。人口が減少することは市場を狭めていることですからモノが売れなくなります。モノが売れないと消費が増えないのでモノの値段は下げ続けることになります。また正社員の採用が少なくなっていることも問題です。安定した所得が得られないと人はお金を使いませんし、将来への希望のない社会で消費を続けることはしません。正規雇用を増やすことは経済対策として一番にすべきことです。
そして所得の問題があります。給料の高い世代が退職し、給料を低く抑えられる若い世代が社会に入っていますから、確実に平均所得は低下しています。平均所得が落ちている中において消費が増えることは考えられませんから、この面からもデフレ脱却は簡単ではないことが分ります。また個人の消費性向が自動車などのモノよりもソフトに向かっていることから、早い段階での消費回復も厳しい状況にあります。
最後に日本の人口の適正規模を、面積で同規模のドイツと同様の7,000万人だとすれば、これから人口減少は続くことになり、7,000万人辺りで止まることを予想した経済対策と市場構造を創り上げる段階にあります。市場が縮小することは確実ですから、今から徐々に経済規模を縮小させていき、将来に備える時期にきているようです。100の経費を70程度に抑える工夫をするなどの備えが、私たちにとって必要なことです。
人口規模に合わせて経済規模も適正なものにしていくための施策を頭に入れておく必要があります。特に和歌山県は人口減少が著しいので対応が必要だと認識しています。
東燃ゼネラル石油の問題や企業進出の問題など、和歌山県にとって大きな問題への対応を行いました。
平成21年にエネルギー供給構造高度化法が制定されています。この法律はエネルギー企業に対し原油など化石エネルギーの有効利用と、非化石エネルギーの利用拡大を促すものです。 そして安価な重質油からガソリンや軽油を生産する体制を整え、国全体のエネルギーコストを引き下げることを狙いとしています。
中でも石油会社に対しては、重質油からガソリンや軽油などの付加価値の高い製品を精製できるようにするため、重質油分解装置の装備率の向上を求めています。
法律の基準によると、日本全体の装備率を10%から2013年度末に13%に引き上げることを目標にしています。各石油会社に対しては、現状の装備率によって3段階の改善目標を定め平成22年10月末までに改善計画の提出を求めています。改善を実施しない企業に対しては経産省が勧告や命令をすることになっています。ここで重質油を処理する設備比率が低い東燃ゼネラル石油やコスモ石油にとっては設備投資か廃止などの選択が求められることになりました。つまり重質油の設備を増強できない場合は、装備比率を上げるため精製能力全体を大幅に削減することが求められています。
各社は2013年度までに重質油分解装置を新たに増設するか、全体の能力を削減する必要がある。装備率が低い企業ほど、高い改善目標を設定された。
しかし重質油分解装置の新設には500億円以上必要とするため、内需縮小の中で新たな設備導入は困難だと思われます。そのため現実的には能力削減の選択肢が残されるだけだと思います。
そしてこの規制の影響を大きく受けるのは、装備率が低いコスモ石油と、東燃ゼネラルです。両社の装備率は現在約4%のため、2013年度末までに約6%前後の改善が求められることになります。参考までに東燃ゼネラルは設備廃棄の方針を示していない状況でした。
この基準を満たすためには、両社とも日量約20万バーレルと、現状から3割近い削減を迫られることになっています。つまり製油所一箇所の閉鎖だけでは補えない可能性もあり、東燃ゼネラルの場合、有田工場と堺工場の二箇所の閉鎖について方向性が注目されていました。本日、東燃ゼネラルに関しては、閉鎖か投資かの方針決定を2013年までに行うことで決まりました。直ちに撤退や設備投資の方向性が決まりませんでしたが、これから国と和歌山県、そして当事者の東燃ゼネラルとの協議が詰められることになります。長い戦いが始まりました。
参考までに、アジアでは安い重質油を処理できる最新鋭の製油所が増えています。重質油分解装置の装備率は中国が35%、シンガポールが22%、アジアの平均では19%となっています。古い精製設備が多い日本は約10%でアジアと比較しても低い数字となっています。国際競争力の観点から改善することが国益につながるため、エネルギー供給構造高度化法が制定されたものです。
参考までに平成22年9月県議会定例会において、この問題について意見書を採択しています。エネルギー供給構造高度化法に基づき東燃ゼネラル石油(株)が提出する実施計画に対して特段の配慮を求める意見書がそれで、文面は次の通りです。
「東燃ゼネラル石油(株)和歌山工場は、高い技術力を背景とした製油所近代化のトップランナーであり、和歌山県の誇りである。常に時代の変革に応じて地域経済を牽引し、地域住民に親しまれ、日々の操業と発展を通じた地域への貢献活動は、70有余年のときを経て、今やその存在を地域にとってかけがえのない「われわれの工場」としており、和歌山県の至宝と言っても決して過言ではない。
今我々は、この度の法改正による判断基準に基づいて同社が提出する実施計画の内容如何によっては、この和歌山工場の存続が危機に瀕することと強く懸念している。
とりわけ和歌山工場は、他の製油所立地地域とは異なり、有田市における経済的、心理的位置づけを重くしており、その縮小・撤退は同市を中心とした近隣地域経済の荒廃に直結する由々しき事態を生じさせる。このように地域経済の荒廃をもたらしかねない政策の結果と責任に係る制度の運用にあたっては、政府は極めて慎重であるべきであると思量する。
よって、国においては、特定燃料製品供給事業者が提出する実施計画に対して同法による判断基準を適用される場合、地域における雇用面・産業連関面等の実態経済に与える影響及び当該工場自体が占める経済的位置づけ等を十分に斟酌し、運用面での弾力的な対応を図られるなどの措置を講じられるよう強く要望する。」