活動報告・レポート
2010年10月8日(金)
委員会視察三日目
委員会視察三日目
委員会視察の最終日です。静岡県に移動して静岡県立こども病院の視察を行いました。全国でも数少ない小児科専門の子ども病院です。ところでGDPに占める医療費の割合は、日本は先進国中で最低だと伺いました。日本は8.8%、アメリカが10.2%、フランスが10.5%、そしてドイツが10.9%となっています。この数値は改善を図るべきものだと思います。そして小児科の問題としては、小児救急の負担が大きいことが挙げられます。小児科の医師不足によって、24時間365日対応の子ども病院は、全国でも珍しくなっているのです。それに加えて子どもの数が減少しているので、小児科は斜陽と認識されているため、医学部の学生で希望する人が少ないのです。
昭和22年には270万人もいた15歳以下の子どもですが、平成21年では107万人にまで減少しています。半数以下になっているのですから、市場規模で言うと斜陽化していると言わざるを得ません。
医療費に関しては、ひとつの問題の指摘がありました。現在静岡県では子どもの診療費無償化施策が講じられていますが、これが問題だという指摘です。
子どもの医療費が無料であることから治療や手術を受けても、病院でお金を支払う必要はありません。そのため医療費がどれだけ必要となっているのかを知らない保護者が多いのです。医療費が増加している原因の一つに、医療費用がどれだけ掛かっているのかを知らない人が多いことが挙げられます。
そこで小児の医療費無償化には同意しますが、経費を削減するために一旦治療費の支払いをして、後日、支払った分を振込みで返金する方法も考えられます。これだと自分が支払った感が残ります。医療費を支払う行為を全くしないと無償の意識がありますから、湯水のように医療費が膨らみます。これを抑える意味からも小児医療が国や県が、そして医師が大変な思いをして成り立たせていることが理解できると思います。医療費制度に関して考えたい事項です。
静岡県の県立子ども病院は素晴らしい施設であり、素晴らしい医師が勤務していました。和歌山県でも、「子ども達のために子ども病院を設立して下さい」と依頼を受けました。財政面からすると実現可能性は低いのですが、同じ県として小児科医療に関して先進的な取り組みを行っている実例を視察して刺激を受けました。実際に見ないと分からないものがあります。あるとは思わなかった小児科専門の子ども病院が存在している事実に関して、和歌山県が設置出来ない理由を考えましたが分かりませんでした。
和歌山県にないのが当たり前と思っていたものが静岡県に存在していること、これは和歌山県で暮らしている子どものある家庭にとって、同じ行政サービスを受けられていないことを表しています。もっと言えば、今までも小児科専門の県立病院の医療サービスを受けられない歴史があったのです。
どこの行政区域で暮らしても同じではないことが分かる事例です。暮らしやすさの指標になる得る県立医療の取り組みです。
子育て環境NO1を目指している和歌山県にとしては、導入したくなる静岡県子ども病院の存在でした。このような施設と医療体制がなくして、子育て環境で一番になることは出来ません。今日の視察で得た成果として、そして大きな課題として認識しておきます。