和歌山県日高川町和佐の私立和歌山南陵高校で、学校運営が不適切にされていた問題について、仁坂吉伸知事は14日の県議会一般質問で「大変遺憾な事態。生徒を守る立場で、引き続き指導を重ね、必要な対処をしていく」と約束した。
楠本文郎議員(共産、御坊市)と片桐章浩議員(改新、和歌山市)がこの日、南陵高校問題について質問した。
同校は静岡県菊川市の学校法人南陵学園が運営。給与未払いなどを理由に同校の教職員が5月11日、生徒に授業をしない「ストライキ」を決行した。国から「就学支援金」として補助を受けたのに、保護者から預かった授業料を約束の期限までに返還していなかったことも大きな問題となっている。
加えて両議員は、寮のガスが止められ、寮生が入浴できない事態が起こったことや、水道料金の未納、教職員の給与から天引きした市町村民税や日本私立振興・共済事業団への掛け金を滞納していたことも指摘した。
長尾尚佳企画部長は答弁で、県の定例の現地調査により昨年度、図書室の未設置や校長の長期不在などの問題を把握し改善を求めていたことを明らかにした。
これらの問題が発生した背景について長尾部長は「法人の経営が極めて不健全な状態にある」とし「諸問題は生徒の就学に悪影響を及ぼしかねない。今後も文部科学省の指導を受けながら、法人の所轄庁の静岡県と連携を密にし、法人に対し生徒の適正な学習環境の確保と健全な育成の場を守るよう、強く求めていく」と答えた。私立学校法違反の可能性があるため、静岡県に対し、経営改善の措置命令の対応を取るよう、書面で依頼したことも明らかにした。
仁坂知事は「県として法人や学校を現地調査し、指導を重ねてきたが、依然として解消されていない問題がたくさんある。保護者や教職員から再三説明を求められ、県からも説明するよう指導しているが、説明責任を果たしていないのは極めて不適切な対応と言わざるを得ない」と指摘。「(本来は)確固たる財政基盤と社会的名声を背負った企業が、立派な理念を持った教育者を擁して学校運営をするべきだ」とした。