田辺市立中学校１年の男子生徒が昨年１２月、自殺を図り意識不明の状態となっている問題で、西下博通県教育長は５日の定例県議会で、公表の遅れを指摘されたことについて「ご両親への配慮もあった。意図的に発表を控えていたわけではない」と述べるとともに、真相究明に全面的に協力する考えを示した。

片桐章浩議員（改新クラブ）の質問に答えた。西下教育長は学校側の対応について「いじめの実態がないか、調査や面談を実施しアンケートを行うなど丁寧な対応をしてきた」と説明。一方、男子生徒の家族に保護者会の開催日などが事前に知らされていなかったとの指摘については「日時場所の詳細まで連絡していなかった。丁寧な対応に努めていくことが大切だと考えている」と答弁した。

そのうえで今回の問題について「人権を侵害するばかりでなく、人間の尊厳に関わる問題。絶対にあってはならない」と述べ、「命の教育や道徳教育を通して、命の尊さや人を思いやる教育を一層充実させていく必要がある」と強調した。

また仁坂吉伸知事は「市町村教委や県教委、知事部局が一丸となって対応していくことが大切だ」と述べた。