掲載記事
2011年6月24日(金)
和歌山市はゼロ
産経新聞
地震などの災害時に高齢者や障害者が避難できるよう手すりなどの施設を備えた「福祉避難所」が、県庁所在地の和歌山市内に全く設けられていないことが23日分かった。県議会の一般質問で取り上げられ、県は「和歌山市の取り組みは遅れていると言わざるをえない」と異例の指摘を行い、「今後協力に働きかけていく」とした。
福祉避難所は、手すりなどのバリアフリー設備が整い、避難者10人に1人の職員を置くなどした専門施設。県は市町村に対し、既存の民間老人介護施設などと協定を結んで福祉避難所として指定するよう、平成20年6月作成の災害時要援護者支援マニュアルで求めていた。
県内でこれまでに14市町村で714ヶ所が指定され、市町村別では橋本市26ヶ所、海南市2ヶ所など。しかし16市町が未指定で、県人口最大の和歌山市も含まれていた。
和歌山市福祉保健総務課では、「福祉避難所という名称で指定すると、障害者は必ずそこへ避難しないといけないのか、といった混乱が予想されるため。あえて指定しなかった」と説明。現在は、東日本大震災の被災状況を踏まえ「拠点となる施設を指定しようと協議中」などとしている。
県福祉保健総務課は「市町村によって取り組みに温度差がある。積極的に進めてほしい」とし、同様に指定ゼロの田辺市や新宮市などにも求めていく。